2024年8月29日から31日の3日、アメリカはネバダ州ラスベガスのコンベンションセンターで行われた、IBJJF主催のワールドマスター柔術選手権2024。茶帯女子で唯一の栄冠を勝ち取った上野御徒町ブラジリアン柔術部の砂川久美子選手に、試合直後帰国されたところを直撃した。
上野御徒町ブラジリアン柔術は御徒町から徒歩10分程度の所にあり、1階に道場、3階に更衣室や、アパレルが所せましと並べられている。3階の更衣室は音楽も流れ、ハイテーブルと椅子が置かれ、さながらカフェのような雰囲気だ。そこで、激戦を終えられた砂川選手に話を聞いた。
NAVI：まず、砂川さんは柔術以外にも色々とキャリアをお持ちということで、私はかなり存じておりますけれども、今回、記事にお読みになられる方は知らない方もいらっしゃるので、そのあたりからも聞いていきたいのですが、よろしいでしょうか。最初は、小さい時から空手から始められたということでよろしいのでしょうか。
砂川：小さい時から、5歳から高校3年生まで剣道をやっていました。高校2年から空手です。
NAVI：空手では全日本取られているのですよね？
砂川：はい、全日本ですね。あとはワールドカップですね。ワールドカップは2位ですけれども。
NAVI：柔術を始められたきっかけっていうのは、私は以前お伺いしているのですけれど、改めてお伺いすると、どんな形で入られたのでしょうか？
砂川：はい、私が湯島に空手の道場を持っていて、そこの空き時間を柔術に貸してくれませんかと高橋先生（注：高橋圭太氏。上野御徒町ブラジリアン柔術部代表）が来たのがきっかけです。
NAVI：通常、いきなり知らない人が来て、貸してくださいって言われて、え？っていう感じにはなりませんでしたか？
砂川：めちゃくちゃえ？ってなりましたね（笑）。怪しさ満載だったので。なので、最初は名刺だけもらって、後日メールが来たのですけれど、そのメールも読んで、自分はちょっと言葉足らずな部分があったりするので、空手の師範代がいるのですけど、その人にメールを見せて、その人に返信書かせて、それを送ってと言う感じでした。そのあと、じゃあ説明するプランを持っていきたいですということを（高橋氏が）言ったので、それも三者面談みたいな感じで自分と師範代と高橋先生と三人で会いました。高橋先生が、ここを借りる目的と期間を全部プレゼンしてくれて、そこで、じゃあオッケーって言って（笑）。
NAVI：軽いですね（笑）。
砂川：そのあとその3人で飲みに行って、そこで鍵を渡して、よろしくお願いしまーすって言って。
NAVI：沖縄の方っぽいですね、なんかノリが。
砂川：もう一人の人も奄美なので、南のノリですね。でも、会って人の良さがすごいすぐ伝わってきたので、そこからは普通に。
NAVI：そこで、（場所を）貸すだけってこともできたわけじゃないですか。だけれども、自分もやってみようって思ったのは、やはり実際に柔術を見られたりとか、クラス見たりしてですか？
砂川：高橋先生が、もしあれだったら2人もどうですかって言ってくださって。じゃあやりますって言って。
NAVI：そこも軽くなんですね（笑）。
砂川：柔術がどういうものかちょっと分からなかったのですけど、でも、同じ場所でやるんだったらやりたいなって思ったのですよね。
NAVI：そんなに気負わず最初は始められた感じですかね。一緒に三者面談されたもう一人の方も柔術はやってらっしゃるのでしょうか。
砂川：はい、今やっています。
NAVI：そういった形で始められて、柔術は順調に白帯からすぐ青帯になられましたよね。
砂川：半年後とかですね。試合に出て、それでもらいました。
NAVI：そこからは順調に帯を上げて来られと思うのですが。ウェブサイトを拝見すると、今年の目標で、柔術の世界チャンピオンに、黒帯を目指すみたいなことが書いてあって、どのあたりからワールドマスターは意識されたのですか？
砂川：3年前ぐらいですね。
NAVI：かなり早いですね。
砂川：高橋先生が50歳の年にワールドマスターに行くっていうので、（他のジム生の）紫帯の方と3人で、それに合わせて自分たちもそこに行こうっていう話になって。
NAVI：その時は茶帯ですか？
砂川：その時青帯とかですかね。
NAVI：実際にワールドマスターの試合を全部見させていただいて、1試合目のドミンゴ選手。クローズドガードでスタートされて、デラヒーバガードを巻いてハーフガードからスイープして2点取っていい立ち上がりでした。Flo（※ワールドマスターの配信サービス）の画像は遠かったのですね。実際一本取られたと思うのですが、バックチョークなのか奥襟絞めなのかがちょっと見えなかったです。
砂川：チョークです。
NAVI：ワンハンドチョークですか？ワンハンドで取られたのですね。あの戦い方を見ていて、あとは女子練習会とかで一回お会いした時と、ワールドマスターの戦い方というのが私の中ではですけれど、かなり違っていたと思っていて、ワールドマスターに向けてどうやって練習していたのでしょうか。多分6月くらいですかね、女子練習会でお会いしたのって。そこから3ヶ月くらいの間にどんな秘密特訓をされたのかなと思って、すごい気になったのですけれど。ワールドマスターは3年前に目指されて、そこから照準はそこに当てて練習してきたっていうのはあると思うんですけど、特にその茶帯になってワールドマスターまでの期間というのはどんな感じで過ごされたのでしょうか。
砂川：アンストッパブルは、（高橋）先生が得意な技で、同じ動きで勝ちたいなというのがあって、アンストッパブルはめちゃくちゃ練習しました。
NAVI：アンストッパブルっていうのは？
砂川：片足にかけてひっくり返す技です。あとは、自分の中でも急にガードができだしたなっていうのがありました。
NAVI：本当に失礼なのですけれど、女子練習会の時は、茶帯になられてガンって強さが増しているっていうよりは、いままでの延長線上で茶帯になられたなっていう感覚が私は失礼ながらしていて。けれども、ワールドマスター直前に出稽古こさせていただいて組んだ時に、体の密度とかそういうのが前回組んだ時と全然違っていて、本当にその（女子練習会後の6月以降の）3ヶ月間どういうことされていたのだろうっていうのがすごい興味があります。とにかくプライベートレッスンなども入れて練習したということでしょうか？
砂川：いや、普通に毎日来て練習して、その日に習ったことをやってみてという感じですね。
NAVI：打ち込みとかもさせてもらいってことですかね。
砂川：はい、そうですね。
NAVI：体ってやっぱりこの同世代なので分かるのですけど、結構来るじゃないですか、疲れとか溜まったり。そういうことはどうやってケアされながら、やっぱりピークを大会に持っていくのはそれぞれすごく難しいと思うのですよね。
砂川：そうですね。自分はそういうのをあんまり考えないタイプで。
NAVI：疲れもですか？
砂川：疲れたら寝るっていう感じで。なんか怪我しそうだなと思ったら抑えるとか。
NAVI：とりあえず練習はするけれども、強度をちょっと変えるとかそういうことですか？
砂川：そうです。それで調整する。
NAVI：では特にサプリを飲んだり、プロテインを飲んだりとかはしていないのですか？
砂川：ないですね。ないのですけど、今回珍しく禁酒したのですよ。一週間前に。それが良かったです。お酒を。なんか飲みたくなくなって急に。
NAVI：禁酒しなきゃというよりは、飲まないでいける状態になったということですね。話を戻して、2試合目なのですが、エリザベス選手。この試合はレフェリー判定だったのですが、これはもうすごく練習されてきたのだろうなっていうのが分かる、担ぎの防ぎ方をずっとされていましたよね。それで、ちょっとこれレフェリー判定になったら、微妙な感じだったじゃないですか。それで、最後やはりレフェリー判定になって、勝ち名乗りで手を上げられた時にあっ!というかキョトンとした何とも言えない表情をされていましたよね。あの時の率直な感情はどんな感じだったのでしょうか。
砂川：あの試合の前に日本人の方が、クローズドガードで攻めいたのに負けてしまったじゃないですか。そんな感じになってしまうのかなって思っていたのですけど。でも、自分の中ではちょっとチョークをめっちゃ狙っていて、相手の顔にプレッシャーをかけるのをやっていたので、いけたかも、どうだろうなっていうのがありました。でもなんか負けるかもしれないなっていうのはすごくよぎりました。そしたらなんか自分の手が上がったので、そしたら（セコンドの）高橋さんが「うおー！勝った!」みたいな不思議な感じになっていて。あれはちょっと審判に助けられたのかなっていう感じがしますね。
(インタビュー後半 PART2 につづく。。。 )
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