9月4日(土)、東京・八王子のエスフォルタアリーナ八王子で2年ぶり9回目となるJBJJF全日本ノーギ選手権が開催された。
2020年10月、IBJJFがアダルト茶・黒帯のノーギカテゴリーでヒールフックとニー・リーピング解禁を発表し、今年3月のダラスノーギオープンで初めて適用されてから半年後、国内のノーギトーナメントでも新たな戦いが始まった。
JBJJFで同ルールが適用されるのは茶・黒帯に相当するアダルトエキスパートカテゴリー(試合時間は6分)。無差別を含めた7階級54試合中、ヒールフックでの決着は6試合だった。
最初の“ヒールフッカー”となったのはフェザー級の須藤拓真。須藤は準決勝、決勝でヒールを連発し、波乱となった同級を制している。
ライトフェザー級はこちらもヒールで一本勝ちを重ねた米倉大貴が優勝。ライト級は世羅智茂が森戸新士との接戦をモノにし、感情を爆発させた。
ワンマッチが続いた中重量級。ミドル級は高本裕和がアドバンテージ1差で柳井夢翔を下し、ウルトラヘビー級は紫帯のイヴァル・スワンベリが頂点に。
MMAデビューを控えるイゴール・タナベはフロリダで開催されていたIBJJFパン選手権を見送り、今大会にエントリー。キモノを脱いでも無類の強さを発揮し、スーパーヘビー級、無差別の全試合を腕十字で勝利しダブルゴールドを獲得している。
有力候補が相次いで表彰台に絡まず敗退したフェザー級。寒河江寿泰、江端講平らを破った須藤拓真(X-TREME EBINA)が決勝でも1分35秒、ヒールを極めてエリック・メネギン(CHECKMAT JAPAN)からタップを奪った。頂点に届かなかったエリックだが、初戦は三角絞め、2回戦はダースチョーク、準決勝は三角アームロックと一本勝ちを連発する健闘を見せた。
ライトフェザー級は米倉大貴(IGLOO)が制した。米倉は栃澤欣之との初戦、吉永力との準決勝をヒールで勝利。初戦は34秒、準決勝は41秒とともに秒殺決着だった。
決勝の相手、杉本孝(パラエストラTB)は米倉に一本こそ許さなかったが、米倉が27-2と大差をつけて勝利している。
ライト級決勝は森戸新士(藤田柔術)vs世羅智茂(CARPE DIEM)。膝十字、腕十字と一本勝ちで決勝へ進んできた森戸に対し、世羅は初戦はレフェリー判定、準決勝は終了間際のテイクダウンで勝利と接戦が続いた。試合は残り時間1分を切り、森戸のA1-0で迎えた最終盤で世羅がスイープ&ニアバックのアドバンテージを得てレフェリー判定へ。結果、自身の手が掲げられた世羅は「オレは日本一だ!」と勝利の雄叫びをあげた。
ミドル級はワンマッチ決勝。高本裕和(高本道場)が柳井夢翔(リバーサルジム新宿Me, We)から終了間際にトーホールドでアドバンテージをもぎ取り、0-0、A3-2で接戦を制した。
ウルトラヘビー級は紫帯のイヴァル・スワンベリ(トライフォース柔術アカデミー)が金星。荒削りながら体格を生かした攻防で黒帯のケネス・トーマス(藤田柔術)を9-0で下した。無差別ではレフェリー判定で森戸新士に敗れるも3位入賞を果たしている。
10月17日のHEAT49でMMAデビューするイゴール・タナベ(IGLOO)は、長田雅仁(CARPE DIEM)とのスーパーヘビー級ワンマッチ決勝を2分2秒、腕十字で制すると、無差別も全試合で腕十字を極めて優勝。
圧巻なのは試合時間。初戦の手良向一嘉は54秒、2回戦の細野翔太は1分22秒、準決勝の樋口翔己は1分41秒、決勝でも森戸新士を55秒で下している。
なお、青・紫帯に相当するアダルトアドバンスクラスでは同門のトミー・ヤノも階級別&無差別を制し、イゴール、米倉らとともにIGLOOのチームポイント準優勝に貢献している。
Photo and text by 成田敏史/Satoshi Narita