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【インタビュー】自分が強くなるために柔術の大会に出場しているのでチャンピオンになったから出ないという選択はなかったです。|箕輪ひろば・中井祐樹対談

JBJJF第8回東日本柔術選手権に出場した箕輪洸葉選手※修斗では”ひろば”表記 Photo by 橋本欽也/Kinya Hashimoto

──本日は修斗ストロー級〔-52.2kg〕チャンピオンで、本日のJBJJF第8回東日本柔術選手権に出場し、先程試合を終えたばかりの箕輪洸葉選手※修斗では”ひろば”表記(総合格闘技道場STF)にお話を聞いてみたいと思います。

箕輪:はい、宜しくお願いします。

──そして箕輪選手たっての希望で、JBJJF会長で元プロ修斗ウェルター級チャンピオンでパラエストラ代表の中井祐樹先生をお迎えして対談形式で進めて行きたいと思います。司会は、JIU-JITSU NAVI編集長の新明です。宜しくお願いします。

JBJJF会長中井祐樹は、元プロ修斗ウェルター級チャンピオン。箕輪との修斗王者同士の対談となった。Photo by 新明佑介/Yusuke Shinmyo

中井:宜しくお願いします。

──箕輪選手は本日出場してみようかなと思ったきっかけみたいなものあるんですか。

箕輪:そうですね。以前からコンスタントに柔術の試合は出ていました。修斗杯柔術選手権2019などにも出場しましたし、タイミングが合えば柔術の試合に出場したと思っています。MMAをやる上で柔術は、すごい大切だなっていうのが自分の中であるんで、はい。
今回タイミングあったんで出場させていただきました。

中井:たびたびMMA選手は柔術の試合出てますね。

──現在紫帯ですが、青帯の時は何大会ぐらい出ていたんですか?

箕輪:3大会ですね。青帯時代は、基本的には全部勝っています。

中井:あんまりコンスタントにMMA選手が出場している例はありませんね。
定期的に出場するという意識の人はあまり多くないような気がします。うまく柔術の試合を利用してもらえれば良いんじゃないかと思います。連盟としては喜ばしいことです。

──修斗のチャンピオンになってからは柔術の試合は本日が初ですか?

箕輪:そうですね前回は修斗杯なのチャンピオンとしては初ですね。

中井:そういうのになるともっと過去にいないんじゃないかな。

2019年11月30日付で第7代世界ストロー級王者・猿田洋祐が同王座を返上。 2020年1月26日の後楽園ホール大会で、第8代世界ストロー級王座決定戦として、同級1位の小巻洋平(リライアブル)と同級2位の箕輪ひろば(総合格闘技道場STF)が対戦。 2R 04:53(リアネイキッドチョーク)で箕輪が勝利しストロー級王者になった。 ジュニア、アマチュア、プロ修斗を経験し世界チャンピオンになったのは箕輪ひろばが初である。(C)SUSTAIN/SUSUMU NAGAO

──確かにチャンピオンだと出づらいですよね。

箕輪:僕それが嫌だったんですよ。自分が強くなるために柔術の大会に出場しているのでチャンピオンになったから出ないという選択はなかったです。

中井:確かベンソン・ヘンダーソンがUFCチャンピオンの時に青帯で出場して3位だったというのがあったね。まだ色帯でしかも優勝ではない、ということがありました。箕輪選手が出場していてそういうことも思い出しました。そういう選手でも出てくるんだという。

──今日は残念ながら決勝は負けてしまいました。

中井:優勝した岡泉(岡泉海/パラエストラ古河)はまだ10代なんです。高校出たぐらいです。

──箕輪選手はおいくつでしたっけ?

箕輪:僕は今22歳です。ジュブナイルからやっています。

中井:岡泉は、茨城県のパラエストラ古河で少年部からやっているので期するものがあったと思います。相手(箕輪選手)が名が知られている選手との決勝で勝利ですし。古河という土地柄かホープなんですが、意外と取り上げられていないんですよね。注目してほしいという気持ちはなくはないが、僕はあんまり声高に岡泉海の名前を出したことはなかったんですよね。自分の実力で上がった人が世に出るだけの話なんです。

箕輪:相当強かったですね。久々じゃないですかね。ちゃんと負けっていうのは。ポイントで14対0の完封されました。

──1回戦・2回戦は1本勝ちでしたね。

箕輪:はい。多分岡泉選手はその2試合で僕のことを研究していたと思うんですよね。テイクダウン取れなかったですね。うまかったです。

Photo by 橋本欽也/Kinya Hashimoto

箕輪選手の試合のJBJJF第8回東日本柔術選手権の色帯レポートはこちら
岡泉海vs箕輪洸葉の動画はこちら

【JBJJF東日本選手権2021】アダルト紫帯ライトフェザー級

3:38 2回戦 伊澤一希 vs 箕輪洸葉
19:47 2回戦 岡泉海 vs 澤井雅登
24:20 2回戦 石原健流 vs 服部吉弥
32:23 準決勝 箕輪洸葉 vs 佐藤健士
37:57 準決勝 岡泉海 vs 石原健流
44:16 決 勝 岡泉海 vs 箕輪洸葉

【修斗杯柔術選手権2019関東】箕輪洸葉 アダルト紫帯ライトフェザー級

 

──箕輪選手に柔術の試合に出ることをジムの先生が推している感じですかね?

箕輪:僕の師匠の総合格闘技道場STF代表の阿部先生(阿部直之)が、基本的には昔から満遍なくやるようにと言われています。

中井:(STF)は修斗&柔術という感じの道場ですよね。昔からしかも早い段階で。STFってめっちゃ古いんですよ。パラエストラ和泉代表の代表の吉岡広明はパラエストラ東京入りする前の所属はSTFなんです。STFはパラエストラ東京より歴史があるんです。その当時はまだ常設じゃなくてサークルみたいな形だったと思うのですが、僕も格闘技通信やゴング格闘技の仲間を募集してる記事を見つけて、修斗のオフィシャルになりませんか?と連絡してそこから視界に入ってるんです。

──修斗との関わりは中井さんきっかけなんですね。

中井:そうそう。そういう全国で仲間募集して練習してます一緒にやりましょうみたいなのが、文通しましょうじゃないんですけど各雑誌に載ってる時代だったんです。

──インターネットの前の時代ですね。

中井:その人達に修斗のオフィシャルチームになりませんかみたいな話をしていって、そうすると全国的にどのくらいの人が総合やっているのか、マップができるんです。総合格闘技STFはそういうのを始めようとしたきっかけとなった団体の一つなんです。
埼玉県富士見市なんだ、とか。そういうのを調べていって、
これに全部修斗のオフィシャルチームの案内を送ったんです。その初年度はほとんど無料にして。それを後に柔術連盟(現JBJJF)に転用したんですよ。

──そうだったんですね。

中井:いわゆる格闘技道場の全国マップに作ったのも私なんですよ。修斗オフィシャルジムみたいなもの礎を。全国で総合やっている仲間がこの県には何件あってということがわかるようになるから良いだろうと。

──めちゃくちゃ面白い話ですね。

中井:一網打尽に言ったら非常にいやらしいけど、これで全国で地方にある総合格闘技のジムは修斗だってことになったんですよ。

──そうでしたか。そういう歴史だったんですね。知らなかったです。

中井:今となっては修斗じゃないプロモーションもあるわけで。ほとんど総合格闘技がない時代にオフィシャルジムだけの力じゃ無理ってどっかで判断したんです。
だから、当時、全国でやってる人たちを「修斗になりませんか?」って。そういうことで、みんな修斗をやってる人にしてしまうと、まあずるいですよね(笑)
僕やっぱりそういう頭があるんですよ。僕は素人からやってるから、そうやって、素人で入ってやってきた方々がいるので、全国の人たちにそういうふうにオフィシャルと言ってあげたいっていう。それを基本的に後の柔術にも応用して、後に全部連盟に渡したということですね。
パラエストラフレンドシップサークルネットワークという名前だったんですよね。そうやって、パラエストラの仲間ですっていうのが始まりですね。


箕輪:めちゃくちゃ貴重なお話を聞いていますね。

中井:それで始めた人がキッズの時代から初めて修斗のチャンピオンになっているんですね。

箕輪:その時代のお話ってできる方は中井さんくらいしかいないでしょうね。

──確かにいないでしょうね。箕輪選手は何歳から格闘技をやっているんですか?

箕輪:僕は12歳からですね。

──阿部先生っておいくつでしたっけ。

箕輪:52歳ですね。

中井:僕より一つ上なんだ。

箕輪:僕は阿部代表に全部教わっているんですけど、代表曰く総合に必要なのはグラップリングじゃない柔術なんだと言うんですよ。総合の世界は1回レスリング&ボクシングの時代があったと思うんですが、今ちょうどひっくり返って柔術が注目されてるじゃないですか。代表さすがだなって思います。

箕輪の試合は、打投極が融合している。修斗の理念を体現する戦い方だ。(C)SUSTAIN/SUSUMU NAGAO

チャンピオンシップで見せた見事なリアネイキッドチョーク。 (C)SUSTAIN/SUSUMU NAGAO

──どっちかって言うと打撃よりも柔術の方が好きな感じですか?

箕輪:まあ、まんべんなくいろいろやってきて、特にどれが苦手とかはないですけど、僕はテイクダウンし寝技で1本決めるのがかっこいいなと思っています。

中井:修斗チャンピオンであり今はONEにレギュラー参戦して、2勝2勝。ONEの元ストロー級世界チャンピオンのアレックス・シウバ選手に勝っていますからね。黒帯柔術家ですよね。

箕輪:世界選手権(注1)も優勝していますよね。
(注1)IBJJFではなく、CBJJOのコパドムンド王者のようでした。帯色不明。2006年に団体が消滅しているため公式結果を見つけることができなかった。

──アレックス選手とは、内藤のび太選手とも激闘を繰り広げていましたね。箕輪選手にはONEで世界チャンピオンになってほしいです。ONEもコロナ禍で止まっていましたが動き出しましたかね。

箕輪:そうですね。動き出すと思います。

中井:黒帯に勝っている箕輪選手が紫帯なのかよって言うのもの面白いですね。

箕輪:黒帯に勝ったから黒帯あげようって言うのは、黒帯巻いてる人に失礼だろうって。柔術は柔術で結果残して帯上がりたいです。

──リスペクトがありますね。次戦はまだONEがちょっと決まってないかもしれないですけど。

箕輪:年内にもう1試合にやりたいんですけど。体調面もあって試合できない期間があったり、コロナ禍になったりってのがあったんです。

──ではもう1回柔術出ちゃうのもありじゃないですか?

箕輪:そうですね。本当にタイミングが合えば出たいですね。

──今日は修斗のチャンピオン対談でした。箕輪くんが中井さんとの対談でいいですかって言ってきたんですよ。

箕輪:僕らの世代じゃなくて、僕らを教えてくれている世代が「中井先生!中井先生!」ってみんなそう言われいるので僕も存じてたんです。そんな中井先生にSNSで(試合結果などを)拡散していただけるって、もう嬉しいとかじゃないんです。恐れ多いなって。もしタイミングがあればお話しさせて頂きたいなと思っていました。

中井:組んだことも直接話したこともなかったですし、そう言う選手が修斗のチャンピオンと言うのがね。良いですね。

──それも柔術の会場と会って話せるというのも面白いですね。

中井:今の選手達には試合出ている時点で全リスペクトです。修斗のチャンピオンであり、ONEのタイトル戦線に絡んでいくであろう箕輪選手の活躍を僕のSNSには今のMMAみていない人もいるのでこういう選手がいるんだということを紹介したいと思っています。みんなを紹介しきれてはいないですけど。

箕輪:やっぱり中井先生に会って、僕なんかもう恐れ多いというか嬉しいと思いますよ。若手選手は。発信して頂いたりして何かの間違えじゃないかと思いましたよ。

中井:何よりも見てもらえるのが良くて。幸いYouTubeで手軽に見れるということがあるので知ってもらえるという環境ですよね。

箕輪:自分のことを中井さんに知ってもらえていると思いませんでした。嬉しいです。

──柔術の練習はどれくらいの頻度で行っていますか?

箕輪:週2回ですね。打撃にレスリングにと日々やっています。

──僕トライフォースなんですけど。赤坂にも練習に来られていますよね。

箕輪:はい。今も朝行かせてもらっています。

──そういえば、STFでキッズの指導もやっていますよね。

箕輪:はい。やっています。

今度僕が主催でJSCCというジュニア修斗のベルトを作って大会をやります。キッズ達の何かのきっかけになれば良いなあと思っています。子供の頃からやっているとやはりめちゃくちゃ強いんですよね。今日柔術やってても決勝の岡泉選手から感じました。
※8月15日予定でしたが新型コロナウイルス感染拡大の状況から修斗協会から開催中止要請があり延期となった。
箕輪選手主催のJSCC(J修斗チャンピオンズカップ)のホームページはコチラ

柔術に出場しながら次戦の準備を整えている箕輪。本職のMMAでの活躍に期待だ。(C)SUSTAIN/SUSUMU NAGAO

──今後も是非柔術に定期参戦してもらって、MMAではONEのチャンピオンを目指してもらってみんなで応援したいなあと思います。

箕輪:はい、宜しくお願いします。

──中井先生、箕輪選手ありがとうございました。

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