2月4日、墨田区総合体育館にて『第50回全日本サンボ選手権大会』が行われました。
第50回の記念大会という事で、マスターの部と高校サンボトライアル大会も同時開催されました。
大会の様子をレポートします。
スポーツサンボの部
女子54kg級
決勝は高校生で出場した今泉真巳(愛知産業大学付属三河高校)をテクニカル1本で下した吉野美貴子(横浜消防レスリング部)と坂山永(至学館大学)を1-0で勝利した小泉陽菜(三多摩サンボスクール)の対戦。タックルで攻め続ける小泉をつぶし投げ技でポイントを重ねる吉野が6-0で勝利し優勝した。
女子80kg級
柔道で実績があり、世界サンボ選手権でも2度の準優勝の高橋ルイ(kichijoji-fit)と小川真美(至学館大学)のワンマッチ決勝。高橋ルイが投げからの抑え込みで7-0、そこから腕ひしぎ十字固めで1本勝ちと独壇場で優勝。世界2位の実力を見せつけた。
コンバットサンボ
64kg級
昨年同階級で優勝、その後MMAでプロデビューしている熊崎夏暉(BRAVE GYM)、反対ブロックには同じくMMAプロ選手の村山大介(マスタージャパン)が出場し、両選手の決勝が予想されたが、波乱の展開となった。
熊崎は初戦畠山司(ゴンチャロフ・ジャパン)相手に腕十字を極めて危なげなく勝利した。対する村山は木村卓二(SKアカデミー)相手に圧倒、そのまま勝利となると思われたが、レフェリーが止めた後の追撃により反則負け、木村も追撃によるダウンのため決勝は棄権、不戦勝で熊崎の優勝となった。
71kg級
対戦相手の棄権により、井口匠平(至学館大学)の優勝。スポーツサンボでも優勝した井口は、ダブルゴールドを獲得した。
88kg級
コンバットサンボと言えば竹内出(アブソリュート岡山)。対するはアマチュアながらMMAの試合に出場している坪谷綸都(イーストリンカンラスカルジム)。
序盤から打撃、寝技共に竹内のペース、パッシブの累積により坪谷の反則負けで竹内の貫禄の勝利。
スポーツサンボ マスターズの部
マスターズの部は男子70kg級の45歳以上55歳未満と55歳以上65歳未満の2カテゴリーのトーナメントが成立した。
70kg級45歳以上55歳未満
2017年に現役柔道選手ら相手に準優勝に食い込んだ鈴木康裕(フリー)、2023年世界マスターズサンボ選手権で3位入賞を果たした佐奈喜憲司(M-WORKS)、2名のワンマッチ決勝。鈴木は得意の足取りなどを織り交ぜ巧みな試合運びで1-0の僅差をものにし優勝した。
70kg級55歳以上65歳未満
全日本選手権常連のマスターズ世代、畠山治木(あこう堂)は小谷一敏(アブソリュート岡山)を腕ひしぎ十字固めで下し決勝に駒を進めた。マスターカテゴリー開催を聞きつけ25年ぶりに試合復帰の菱垣祐介(kichijoji-fit)は尾藤広光(M-WORKSグランドコア)を4-0で下し決勝に駒を進めた。
決勝は両者一歩も譲らず最後まで勝負の分からない試合展開だったが、0-0のコーション差1で菱垣が辛勝した。菱垣はこの試合のために練習を始めたが、楽しくなりまたサンボを再開した。
試合をしたいマスター世代はいままで若い選手と対戦するしかなかったが、今後マスターカテゴリーが常設されれば試合に出るマスター世代が増えるかもしれない。
高校サンボトライアル大会
スポーツサンボのルールから足関節技を無くし、サンボに馴染みのない高校生も参加しやすいルールで開催された。
男子64kg級
6人トーナメント決勝は山田心(東海大付属札幌高校)と加藤隼祁(東海大付属札幌高校)の同門対決となった。お互い手の内を知り尽くした同士の戦いを山田が3-0で勝利した。
男子79kg級
8人トーナメント決勝は村山貴泰(湘南学院高校)と浅川琥月(東海大付属札幌高校)。お互い一進一退で互角の戦い。0-0のままラストコーションにより村山勝利で東海大付属札幌高校の3階級制覇を阻んだ。
男子＋79kg級
8人トーナメント決勝は64kg級同様、東海大付属札幌高校の同門対決となった。南部敦哉(東海大付属札幌高校)と鈴木岳精(東海大付属札幌高校)もお互い手の内を知り尽くしなかなか展開が作れない。0-0 のまま終了。ラストコーションで南部勝利となった。
今回多数の選手が参加した東海大付属札幌高校は過去に全日本サンボ選手権で優勝経験のある佐藤優作が監督。参加した他の高校からの多数参加や新しい高校にも働きかけ、今後サンボの普及に一役買うポジションになることに期待したい。
Photo and text by Shiho Yaginuma/八木沼志保
