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【CLOSE UP】柔術家紹介|坂本宗彦さん

仕事や家庭と両立しながら、趣味と呼ぶには本気過ぎるほどの情熱で柔術にのめり込む柔術愛好家が全国津々浦々で汗を流しています。「CLOSE UP | 柔術家紹介」は、そんな彼ら彼女らにスポットを当て、シリアスな競技者目線とはひと味違った角度から、人々をとりこにする柔術の魅力に迫ってみようという新企画です。

柔術家紹介・第1回 |坂本宗彦さん

第1回目にご登場いただくのは、グレイシーバッハ徳島に所属する坂本宗彦(さかもと・むねひこ)さん(紫帯)。40代後半で柔術を始めてからハイペースで大会に参戦し、2019年には209ポイントというダントツの成績で、JBJJFマスター35紫帯の個人ランキング1位に輝きました。今年もすでに皆勤ペースで試合に出ている坂本さんの原動力とは何なのか? 53歳になる誕生日の前日、東日本選手権の会場でお話を伺いました。

──東日本選手権おつかれさまでした。階級別は優勝、無差別は準決勝、3-0でリードしていた終了間際、キムラを極められて残り10数秒でタップアウトでした。

「もつかな?」と思ったんですけどね(笑)。もっと早めにキムラに入られてたら、速攻タップしていましたよ。微妙に頑張れるかなというイヤ~な時間でした(笑)。

──今年もすでにハイペースで大会に出ているということですが。

今年は南日本(福岡)、北陸(富山)で、今日。明日は関西(大阪)、25日は北日本(郡山)、81日は中部(名古屋)ですね。

──つまり、全大会ですね(笑)。

2019年、コロナ前までは東西南北(東日本・西日本・南日本・北日本)東西南北マスター、あとナントカ国際は出る。地方は四国、関西、中国、山陽まで。ほかは出ないというマイルールでやってたんです。

ただ、コロナになって去年は試合がなくなりましたよね。すごくフラストレーションが溜まって。2019年の(マスター36紫帯)ランキング1位の表彰をいただいて、今年はエントリー費が免除されるのもあって、とりあえず全部出よかなと。

“52歳最後の日”に東日本選手権へ参戦した坂本さん。翌日の関西選手権は体調不良のため欠場するも、7月25日の北日本選手権は階級別一人優勝、ワンマッチとなった無差別で優勝。8月1日の中部選手権は階級別&無差別でダブルゴールドを獲得しています。

──マイルールは置いておいてと。全国をサーキットするようになったのはいつ頃ですか。

2018年かな。私の記録では……(スマホのメモを見ながら)2016年が7大会16142敗、17年が13大会31256敗、このへんから青帯ですね。18年が20大会70628敗、19年で紫になって32大会896524敗です。

──32大会! 直近の数字にも驚きですが、白帯の頃から積極的に大会に出ていたんですね。そもそも柔術を始めたのは?

2015年の5月、40歳後半になってから始めました。振り出しはずっと前、横浜でサラリーマンをしていた20代の頃、シューティングジム八景という修斗のジムで、中井(祐樹)先生やエンセン(井上)さんの柔術クラスがあったんです。1995年くらいかな? ちょこっとやって、その後はパッタリ辞めていたんですが、12年前に出身の徳島に経営者として戻ってきて、時間を持て余していたんですね。

妻と子どもは横浜、私が単身赴任している形で、はじめは飲みに行ったりしてたけど、そんなこと続けていてもつまらないじゃないですか。それで心を入れ替えて、清く正しい生活、健康志向でいこうと。

──マスター世代だと試合はもちろん、練習に行くにも家庭内予選があるとよく聞きますから、そのへんをどう案配されているのか伺いたかったんですが、その心配はないんですね。

ないんです。むしろ試合があったらこっち(横浜)に帰ってくるからええかと(笑)。

完全に大人の部活化しているんです。試合があるのが僕の中では当然。

──練習頻度は?

基本は毎日です。バッハはキッズがある時は日に3クラス、ない時はベーシックとアドバンスの2クラスで、私はアドバンスやノーギのクラスにも出ています。生活の中に組み込まれているので、日曜日も行きますし、関西で大会があって早めに終わったら、試合のあと練習して帰ることもありますよ。まあ、クラス自体は1時間ですから(笑)。

──これほどのペースで練習や試合に出るほど柔術にハマると思っていましたか?

思ってなかったですね。昔、修斗のジムに通っていた時は週12回しか練習できなかったから、競技者ではなく愛好家って感じでしたけど、毎日練習できるようになるとね。

──余計のめり込んでしまうと。

特に柔術は年齢や帯別で試合が組まれるので、ちょうどいい対戦相手がいるんですよ。めちゃくちゃなことにならない。そういう場を与えてくださっているので、それなら出てみようといざ試合に出ると、自分が何ができていないのかよくわかる。練習はもちろん大事なんですけど、試合で得られるものもすごく大きいと思って、それで私は積極的に出ているんです。

まあ、これくらいの年齢になってくると対戦相手も好きもんばっかりで、こんな感じなわけですよ。(SNSにアップされた表彰台写真を見ながら)北陸でやったこの人とは1516戦目、この人は14戦目、この人は1617戦目。で、明日またこの二人とやりますから(笑)。

コロナでずっと試合ができていなかったので、けっこうみんな研究してるんですよね。実は去年の全日本マスターで、ずっと勝っていた相手に負けたんです。ラッソーで完全にコントロールされて。で、この1年間対策をして久々に試合が再開したら、いきなりスクイッドされた。「そっち!?」となって、また慌てて対策をして(笑)。

なんていうか、そうやってライバルが自分を高めてくれるんですね。茶帯になったとしてもやっていくだろうし、実はこの御三方のうちの二人は暫定で茶帯になってるんですけど、待っててもらってるんですよ。

──坂本さんが茶帯に昇格されるまで。年齢も同じくらいですか?

彼らはマスター4なので、私がカテゴリーを下げています。これから先、大ケガするかもしれないし、体力的に落ちてきて、柔術は続けられてもコンペティションにいつまで参加できるかわかりません。だから、できる間はツメて出ようかなと。

──柔術を始めて、体力の変化とかは感じましたか?

上がっているというか、維持できているかなとは思いますね。自分ではわかりませんが技術も身に付いていると思いますし、幸い大きなケガはないし。

──ケガをしないために意識していることは?

ムリしない。今日のはよくなかったですけどね。もっと早くタップしないと、反省です。

──練習以外で取り組んでいることは?

そこまで追い込んでませんけども、週に1回、パーソナルに付いてもらってウエイトをやってます。あとはヨガを週1回と、食事は気をつけています。

基本一食主義で、朝9時にいわゆるバターコーヒー、MCTオイルを入れたコーヒーとプロテインを飲んで、夕方6時に野菜のスムージー。8時から練習で、家に帰ってきて12時くらいにご飯を食べる。お米一合に肉と魚、魚はお刺身を二人前。これをほぼ5年間やってます。

──ほぼ5年! お腹が減ったりは?

まあ、肉体労働ではありませんからね。ただ、健康志向ではあるんだけど喫煙者なので、タバコを吸ってなかったら異常に健康な人だと思います(笑)。

坂本さんの1日の食事(写真は本人提供)。左上は朝食のバターコーヒーの食材、右上は夕方のスムージーの食材で、リンゴジュースを100cc程度加えるといいます。下は晩ご飯。この日は豚バラのしゃぶしゃぶとキムチ、鰹のタタキと鯛のお刺身に玄米一合。肉は1週間を鶏3豚3牛1の割合でローテーションし、減量が必要な場合は豚をラムに代えるそう。

お酒はもう飲まないですね。肝臓は練習の疲労回復に使いたい、アルコール分解に使うのはもったいないという意識になりました。何かの席で「お酒は飲めません!」なんて対応はしませんけど、晩酌もしませんし。

──柔術によって生活も大きく変わったと。これほどハマるものって今までありました?

ないですね。だから面白かったんでしょう。僕の中では試合と練習はワンセットで、張り合いを与えてくれるというか、そういう場があったからここまで頑張れているのかなと思います。完全に大人の部活化しているんです。試合があるのが僕の中では当然。

──それこそ、仕事の空き時間に教則を見たりとか?

それはない、あんまり勉強熱心じゃないんです(笑)。だからスクイッドとかやられると「おおっ!?」となって、そこから道場でどうしたらいいか研究する。常に後手後手なんです。一回負けて、次は対策できて勝って、また次に新しい技で負けてと。試合で色々成長させてもらっているんですよね。

──今後目標にしていることは?

サーキットは続けられるまで続けようかなと思っています。いつまでできるか、自分自身興味がありますし。まあ、来年どれだけの大会に出るのかはまた考えますけども。マイルールで出るだけでも30試合くらいになりますからね(笑)。

Photo and text by 成田敏史/Satoshi Narita

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