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【インタビュー】今回やった青帯の人たちもきっと練習ではあの人たちに勝てないと思うんです。もちろん緊張はしますけど自分はキックで試合慣れしているので、キックの経験はかなり大きいと思います。|松本哉朗

松本哉朗(まつもと としお)。
この名前、このファイティングポーズに見覚えのある格闘技ファンは多いはず。
松本は、K-1に出場経験のあるキックボクシングの元チャンピオンなんです。

獲得タイトル&戦績

・新日本キック ミドル級チャンピオン
・新日本キック ヘビー級チャンピオン
・ショータイム.ジャパン 95kg級チャンピオン

戦績63戦44勝(32KO)12敗6分1NC

松本哉朗(ねわざワールド品川)は、7月22日「JBJJF第8回東日本柔術選手権」に続き連続参戦となった9月23日−25日「JBJJF第15回全日本マスター柔術選手権」で、マスター4スーパーヘビー級とオープンクラスに出場し、見事にWゴールドを獲得。

【JBJJF】「第15回全日本マスター柔術選手権」青帯レポートこちら

キックボクサーから華麗に転身をした”柔術家”松本哉朗に話を聞いた。


──まず柔術歴を教えてください。

去年の10月からなのでちょうど1年になります。キックを引退したのが2015年、6年前で、引退してから筋トレだけはずっとやっていたんですけど、重いのを何㎏上げたいとかそういうことだけでやっていて、特に目標もなくやっていました。
キックは後輩のミットを持ったり、自分でキック教室を開いて教えていたんですけど、その教室にたまたま柔術をやってる人がいて、元々寝技にも多少興味があったので、いま行ってるねわざワールド品川へ見学に行かせて頂いた感じです。
それでキック教室と練習の時間帯も合ったので、体験入門みたいな感じで行ったら面白いなと思ってハマっちゃいました。

──キックの前に組み技の経験があったのでしょうか?

キックの前はずっとサッカーをやっていて、組み技は中学・高校の授業で柔道をやっていたぐらいです。ただキックで首相撲があるので、多少“組む”っていうのがあったのと、現役の時に総合の長南亮さん、中村和裕さん、白井祐矢さんとスパーリングをしていて、吉田(秀彦)さんとも1度やったことがあります。そうやって総合の方が身近にいて総合格闘家の強さっていうのを目の当たりにしていたのがあって、やっぱりフィジカル、力強さがあって、“やっぱり総合はスゴいな”と思いました。試合も長南さんとかよく応援に行っていたんです。

元DEEPウェルター・DEEPミドル級王者の長南亮さんと。

元DEEPウェルター級王者白井祐矢さんと。

──それで去年体験に行って、すぐハマってしまったと。

そうですね。全然自分が思っていた以上に柔術の選手たちがスゴかったっていうのもありますし、全く相手にならず本当にボコボコにされたので“これは強くなりたい”と思って、一生懸命練習行こうと思いました。

──早くから試合にも出られていたようですね。

今年7月の東日本柔術選手権が初めての大会で、キックの時もそうだったんですが、試合をやることによってレベルが上がるんです。試合って雰囲気とかも全然違うので、やっぱり強くなるには試合が手っ取り早いなと思って、チャンスがあったらガンガン出ようと思っていたんですけど、なかなかコロナの関係で試合がなくて。それで東日本選手権が復活した初の大会だったので、それで出場しました。やっぱりキックの時からそうだったんですけど、試合での経験というのは練習では得られないものなので、もう“出よう”と思って申し込んじゃいました。

──キックの時に得た強くなる方法を柔術に応用したのですね。

そうですね、練習の時もそれはすごいありました。キックだと打ち抜かないマススパーリングで技術を学んでいくんですけど、柔術を始めたばかりの頃は力み過ぎちゃって力だけでやっていたんです。けど、少しして“あっ、これは打撃とかでも初心者によくある力任せスパーだ”と思って、早いうちに気づけたのでよかったです。それで階級が違う方とスパーをする時に技を覚えるために力を使わないで、やられてもいいから技を覚えていこうと思ってやって、あとはテーマを決めて“今日は下からやろう”とか“ディフェンスを学ぼう”とかっていう風にやっていったら少しは上手く行くようになりました。

──東日本選手権で階級別とオープンを制して青帯に昇格、全日本マスターでも再び2階級を制しました。

今回やった青帯の人たちもきっと練習ではあの人たちに勝てないと思うんです。もちろん緊張はしますけど自分はキックで試合慣れしているので、キックの経験はかなり大きいと思います。セコンドの声も、全然試合中すごく冷静に、相手のセコンドの声も聞こえるので。試合前に作戦というか、“今回はこれで行く”っていうテーマを決めてやっているんですけど、それも実行はできます。その辺は自分の強みだと思います。

──柔術ではいまだ無敗の快進撃です。

今はまだキックの時の貯金というか、あとウェイトをやっていて力はあるので、それと試合慣れとかで何とか勝てているような状態です。でも、やっぱり白帯から青帯に上がって青は全然レベルが違うなと思いました。練習の時なんか紫の方とか、もちろん青の人にもそうですけど、もうボコボコにされているので、レベルの差をすごい感じます。黒帯なんか本当にラジャとかルンピニーのランカーとかチャンピオンに見えます(笑)。
今回も大会で勝っていい気になって、ちょっと強くなったかなと思ったんですけど、全然そんなことなくて、もう毎日のようにボコられて、本当に現実を知りました(笑)。今日も午後練習してきたんですけど(※インタビューは土曜の夜に収録)、相変わらずコテンパンにやられて、もうありえないほどです(笑)。

──そんな毎日ですが、柔術は楽しいですか?

楽しいですね。メチャクチャ楽しいです。もともと格闘技も長くてこういうものだと思っているので、全く苦にならないです。やられて“何でやられたのかな?”って反省しながら日々やってます。それで少し進歩が、教わった技ができたりするとやっぱり嬉しいです。

──今後も柔術を続けていきますか?

もう体が動く限り、続けていきたいと思います。キックの方の教室でも今度初めて試合に出る子がいて、そいつらに「こんなおじさんが柔術で、新しいところで頑張っているんだからお前も頑張れ」って偉そうに言っていたので、自分が負ける訳にはいかなくて、その緊張感はありました(笑)。競技が違うとはいえ同じ格闘技として、教え子の前で「負けた」とはやっぱり言えなかったので。今は逆にいいプレッシャーを与えてます(笑)。

──今後も試合は積極的に出ていきますか?

そうですね、自分の都合と合えば是非出て、もっともっと強くなって、帯をどんどん上げていきたいです。

キック時代の試合動画


現在発売中のFight&Life最新号に「マスター柔術のすすめ」ということで松本哉朗のインタビューが掲載されています。
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Photo by 成田敏史/Satoshi Narita・松本哉朗/Toshio Matsumoto・新明佑介/Yusuke Shinmyo
Interview by 長谷川亮/Ryo Hasegawa
Text by 新明佑介/Yusuke Shinmyo

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