女子の競技人口が増加していることは前回のレポートにも記した通りだ。
茶帯や黒帯のカテゴリーに出ていた選手たちはほとんどがインストラクターやインストラクターに準じたポジションにいる選手たちで、いわば専業柔術家といってもいい人たちだった。
だが今回紹介する青帯や紫帯の選手たちは一部を除いて趣味として柔術を嗜んでいる“柔術愛好家”の方々だ。
このような柔術愛好家たちの存在がいまの女子柔術家人口の増加に大きく影響しているのは想像に難くない。
普段はOLや主婦として日常生活を送りながら、こうやって試合に出ることは彼女らにとって非日常であり、そのような晴れ舞台に向けて日々の研鑽を惜しまずに柔術に向き合っているというのは喜ばしいことだ。
今大会は柔術の日本一を決める全日本選手権であり、ただ単に趣味で柔術をやっている人たちからしたら、出場するのにややハードルが高い大会といえる。
だがそれにも関わらずにエントリーしていた女子の柔術愛好家たちの熱意と情熱は尊敬に値するし、今大会の優勝・入賞者の中から次代の専業柔術家が生まれていくのは必然であるといえるだろう。
女子青帯ルースター決勝戦
石山早苗(CARPE DIEM)
vs
久保真由美(X-TREME EBINA)
互いに攻め手を欠き、やや膠着気味な試合展開となったが、ノーポイントからレフェリー判定で石山が勝利し全日本初制覇。石山は全日本マスターで優勝を逃しているがアダルトで優勝した。
女子青帯ライトフェザー決勝戦
岸野紗也加 (DRAGON'S DEN)
vs
大吉風花 (ストライプル茨城)
今大会の１か月前に関東オープンでも対戦している両者の顔合わせだが、この試合でも岸野が勝利して連勝＆全日本優勝。前回は一本決着だったが、今回は0-0/1-0の接戦だった。
女子アダルト青帯フェザー決勝戦
日向野知恵 (トライフォース)
vs
本庄あやな (CARPE DIEM)
この対戦も関東オープンのリマッチで、またもワンマッチ決勝戦。前回の対戦に続き、今回も日向野が勝利し、5:33 送り襟絞めを極めて全日本初制覇。
女子アダルト青帯ライト決勝戦
奥富夕夏(リバーサルジム新宿Me,We)
vs
堀口由莉菜(柳澤柔術)
昨年はフェザーで優勝している奥富が今年は１階級上げてライトでエントリーし、危なげなく決勝戦進出し、この試合でもレフェリー判定ながら勝利して２年連続優勝＆２階級制覇達成。
女子青帯ミドル決勝戦
澤井佑夏(CARPE DIEM)
vs
柳田園己(ネクサセンス)
この階級はワンマッチ決勝戦で、澤井が得意とするディープハーフからのスイープやパスを幾度となく炸裂させて15-0の大差の判定勝ちで制す。
女子青帯オープンクラス決勝戦
奥富夕夏(リバーサルジム新宿Me,We)
vs
澤井佑夏(CARPE DIEM)
ライト優勝の奥富とミドル優勝の澤井のチャンピオン対決の無差別決勝。試合は一進一退の攻防となり、0-0/1-0の１アドバンテージ差で奥富が勝利してＷゴールド獲得。
女子紫帯ルースター決勝戦
山田海南江(IGLOO)
vs
吉田綾子(TREE BJJ)
ワンマッチ決勝戦を1:24 送り襟絞めで極めた山田は昨年はライトフェザーも絞めで一本勝ちして優勝しており全日本２連覇＆２階級制覇。この戦績を引っ提げて今年はムンジアルに初挑戦する。
女子紫帯ライトフェザー決勝戦
高崎栞(X-TREME EBINA)
vs
山崎成美(Evermore)
昨年は全日本マスターで優勝している高崎が今年はアダルトの全日本で優勝。決勝戦はパスガードを決め3-0で勝利。敗れた山崎は富山から単独参戦で１回戦は絞めで一本勝ちしている。
女子紫帯フェザー決勝戦
高本奈月(TATORU)
vs
ヘナータ・シウバ(INFIGHT JAPAN)
昨年は決勝戦まで勝ち進むも一本負けで苦杯を舐めた高本だったが今年はしっかりと取りこぼすことなく優勝を果たす。決勝戦はスイープ＆パスの5-0での勝利だった。
女子紫帯オープンクラス決勝戦
ヘナータ・シウバ(INFIGHT JAPAN)
vs
桝本亜美(GROUND CORE)
フェザーで準優勝となったヘナータはオープンクラスで奮起し２試合連続の一本勝ちで優勝。１回戦はライトフェザー優勝の高崎を0:31 RNCで、決勝はフェザー３位の桝本から3:26 絞めで極めた。
Photo and text by 橋本欽也／Kinya Hashimoto
2022年4月9−10日 第23回全日本ブラジリアン柔術選手権｜23rd ALL JAPAN Brazilian JIU-JITSU ChampionshipPHOTO LIBRARY
