井賀孝の写真の話【第6話/全12話】
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『ひとを撮ること』
ひとを撮るのが好きだ。なぜだろう?
そこにオリジナリティーが表れるからだろうか。
ひとを撮るというのは、なかなかに困難なことである。
被写体を必要とする表現である写真において、物や風景などを撮ることよりもある種ハードルが高い。
まずコミュニケーション能力が求められる。友人を撮るのならそれほどでもないが、よく知らないひとを撮る場合は声をかけるところから始まる。容姿、性別、年齢、肩書き、実績etc、方法はどうでもいいが、こちら側の人間力が試される。そこが動かぬ、感情をもたない物や風景などを撮る場合と明らかに違う。センスや写真の腕だけではカバーしきれない。もっと本質的な部分が問われる。
「こいつ誰?」と被写体は問うてくるのだ。写真を撮らせていいのか、信用していいのか、そもそもおもろい奴なのかと。当然のことである。
シャッターを押す前選手権のハードルが高いのだ。
どういった人たちを撮る、撮り集めるのか、そこにカメラマンのオリジナリティーが顕著に表れる。
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