井賀孝の写真の話【第10話/全12話】
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『QUINTET練』
前回にも書いたが、寝技格闘技イベント「QUINTET」のオフィシャルカメラマンを3年ほどやっていた。それ故国内外を問わず、寝技に優れた者を擁するチームの戦いを撮影した。一方で私は長らく早川光由氏率いる国内屈指の柔術チーム「トライフォース」に所属している。そのトライフォースが満を持して2021年7月13日に開催されるQUINTETに出陣することになった。
トライフォースは基本的には、衣(ギ)を着て行う、いわゆる柔術を主にやるアカデミーで、衣を着ないで行うノーギ(グラップリング)には、カリキュラム的にはそれほど時間を割いていない。週一回土曜日の午後にノーギクラスがある。そのため、週2回、水曜日と金曜日の14時から15時15分までの75分間、特別にQUINTET練と称される、ノーギのコンペティションクラスが6月から試合がある7月上旬まで開催されることとなった。
一年が経過した2022年7月現在、状況は随分と違うが、あの頃はノーギに対応できる者がトライフォースにはそれほど多くなく、私も選手達の練習相手として参加することになった。もしレギュラーメンバー5人に怪我人などが発生した場合、出場もあり得るかもとの可能性も残して。ベンチウォマーいわば2軍である。
そうだ、その模様を写真に収めよう。ルポルタージュ的に。久しぶりにやりながら撮るという「場」感を出して。ケツは決まっている、ゴールは大会当日。なにせ私はオフィシャルカメラマン、試合当日も一番近くで写真が撮れるのだから。
QUINTET練の参加者は、試合出場レギュラーメンバーの澤田伸大、鈴木和宏、石毛大蔵、中島康輔、平田直樹の5人に加えて、ワンマッチで同大会に出場するプロ格闘家の高橋“SUBMISSION”雄己や、山田秀之、吉永力のトライフォース選手勢、身長190cmヘビー級の肉体をもつトライフォース五反田の市川公貴、今やプロレスラー“KUROーOBI”としての顔ももつ小岩健一などが主なところだった。後にトライフォース赤坂のオーナーである戦う弁護士、堀鉄平も加わった。(平田直樹はMMAの試合が同時期にあったため、QUINTET練には参加しなかった。別メニュー。本戦には出場)
練習はチームキャプテンである、IBJJF世界ノーギ柔術選手権 2018年優勝、ノーギ世界チャンピオンの澤田伸大が取り仕切る。
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